人間になることを切望しながらも、人間に差別されたまま、
悠久の時を彷徨い続けてきた彼ら。

永い年月の間に、人間の醜さ・冷酷さ・身勝手さを、
イヤと言うほど見せつけられてきた。
(と同時に、人間の美しさ・優しさ・温かさをも、
彼らは忘れなかった)

辿り着いたこの町で、心優しい刑事一家に出会い、
人間と同じ体験を重ねることができ、
どんなに幸せだったことだろう。
彼らにとって、
まさしく砂漠の一滴の水に匹敵するほど、
貴重なものだったに違いない。

その幸せを捨て、妖怪体を衆目にさらす覚悟で、
犯人たちの銃口から人々を守った彼ら。

それゆえに、
大切な人(刑事一家と学者一家)の元から、
去らねばならなくなる不条理さ。

その哀しみと共に、彼らは決意する。
自分たちは、永遠に人間を守っていこうと。
それが、自分たちに課された宿命なのだと。

ベムが、刑事に最後に言った別れの言葉。
「姿を消しても、我々は、ずっとあなたのそばにいます」

この「あなた」は、全ての人間の内にある“善”であろう。

悪がベムに封印される時の言葉も、また非常に印象的だ。
「同情しますよ。あなた方を待ち受ける未来を思うと。
今、ここで死ねる私は、幸せだ」

この回は、いつもに増して、珠玉のセリフが多い。
ぜひ集中できる環境で、このドラマのセリフの1つ1つに、
耳を澄ませてみてほしい。

全10話のこのドラマは、観てきて、
途中、色々悶々とするものがあった。
それは、またの機会に述べようと思う。