「いま、世界には、物質的に飢えている国と精神的に飢えて
いる国がある」 と、マザー?テレサは言いました。
 日本は物質的には豊かですが、少なからぬ精神的な飢え
があります。
 子どもの問題だけ取り上げても、「いじめ」 「不登校」 「引
きこもり」 「非行」 「家庭内暴力」 「殺傷事件」 「自殺」 な
どが、その精神の飢えを物語っています。
 子どもたちは、毎日不自由なくご飯を食べ、ゲームやコンピ
ュータなどの機械に囲まれていても、精神的には十分に満た
されていないのです。
 この子どもたちの問題は、大人社会の反映です。
 「子は親の鏡」 と言われます。
 私たち大人が精神的に満たされていないから、子どもにそ
の影響がもっとも敏感に反映するのです。
 マザー?テレサは言いました。
 「食べ物ゆえの飢えは、精神的な飢えである愛の飢えより
もずっと取り除きやすいのです。 これは、多くの物を持つ国
である日本でも、かなり目立つことだろうと思います。
 望まれない、愛されない、大切にされない、忘れられたと感
じ、誰もほほえみかけてくれず、誰も手を握ってくれない。 こ
のような人々は誰からも見捨てられています」
 人間は一人では決して生きていけません。
 誰かを愛し、誰かから愛されることによって生きていけます。
 物質的に豊かな国では、多くの場合、この当たり前のことが
隅においやられているのです。
 それは現実に、家庭の中でも起こりうることです。
 「ぼくは、親から理解されていない。 愛されていない」
 そう思っている子どもがはたくさんいます。
 「夫も子どもも、私の気持ちなど少しもわかってくれていない」
 そう思っているお母さんはたくさんいます。
 「おれが仕事が終わってまつすぐ家に帰りたくないのはなぜか、
妻も子どもも、まるでわかっていない」
 そう思っているお父さんもたくさんいます。
 自分は理解されていない、愛されていない、大切に思われてい
ないと感じ、生きている意味も見出せず、ただ毎日を仕方なく生き
ている人が大勢います天然貓糧牌子
 このような精神的な貧困は、取り除くのがとてもむずかしいのです。
 マザー?テレサは言いました。
 「いまや、望まれないこと、愛されないことの方が、ハンセン病や、
結核やガンなどよりもずっとひどい病です。 病気の人々に対しては
孤独な人々や望まれない人々に対しては、あなた
の愛や私の愛だけが、その苦しみを取り除くことができるのです」